8月27日(火)、各ニュースでも大きく取り上げられましたが、
公的年金の健康診断ともいわれる財政検証が公表されましたね。
将来、自分がどれくらいの年金を受け取ることが出来るか、非常に気になるところです。
今回は、我家のように年の差夫婦の場合の年金受給の注意と、
年の差夫婦が受給出来る厚生年金保険のおトクな制度、加給年金について説明します。
- 夫婦のどちらかが、厚生年金に20年以上加入する予定の方
- 夫婦のどちらかが年上・年下の年の差夫婦
- 年金受給する年齢で、18歳以下のお子様がいる方
まず将来の年金、いくら受け取れるか確認してみよう
モデルケース
今回発表された財政検証でのモデルケースは下記の通りです。
- 夫が会社員で60歳まで40年間厚生年金に加入
- 妻が専業主婦
➡年金受取額:約22万円
このモデルケースに合う人には参考になるけれど、いやいや実際に
自分の場合だといくらなの?って思いますよね。
私が最初に突っ込みたかった点は、モデルケースのご夫婦は同い年という前提。
という点です。夫婦ともに年金受給年齢に達している場合の22万円ですからね。
年の差夫婦の注意点
我家の場合、夫と妻(私)の間には8歳半の年齢差があります。
夫が65歳になり年金を受給し始めても、
妻である私が年金を受給するまでには8年半の時間差が生じるわけです。
8年半の間は、受給出来るのは夫1人分の年金のみですので
老後のライフプランを考える上では注意が必要です。
ちょうど8月は夫の誕生月であったため、「年金定期便」が送られてきました。

ハガキ右下の赤枠で囲った部分が、65歳以降、1年間に受取れる年金額です。
その額、年間で1,471,324円。1月あたりに換算すると122,610円です。
ある意味、衝撃的です。
新卒で一部上場企業に入社したものの1年で退社しフリーランス。
という、今では普通でも当時としてはかなり異色の経歴の夫。
政府が想定したモデルケースとはかけ離れていますね。
ねんきんネットで確認してみよう!
念のため、ねんきん定期便の左下に記載された、「お客様のアクセスキー」
を使って、インターネットでより詳細な年金受給額を確認してみましょう。
赤い枠で囲った、年金見込額試算のタブから、かんたん試算をクリックします。

試算結果が表示されました。
確認すると、ねんきん定期便のハガキには記載の無かった「基礎代行部分」があります。

基礎代行部分についての、ねんきんネットの説明です。
簡単にいうと、国ではなく厚生年金基金から受け取る年金ですね。
厚生年金基金が国に代わって給付を行う部分のことを指します。具体的には、老齢厚生年金(報酬比例部分)のうち賃金の再評価分と物価スライド分を除いた部分です。賃金の再評価分と物価スライド分は、国から支払われます。(グラフ上の基金代行部分は、厚生年金基金からの支払いとなりますので、ご注意ください)
なお、ここで表示している基金代行部分は支給停止額が考慮されていません。
基礎代行部分が加算されたことで、
年間で1,798,560円、1月あたりに換算すると149,880円になりました。
加給年金とは
加算給付ってどんなもの?
加給年金とは、夫(妻)が65歳になった時点で、扶養している妻が65歳未満
又は18歳未満の子供がいる場合に加算して支給される年金です。
加算給付の要件
加算給付を受けるためには、大きくこの要件を満たす必要があります。
- 厚生年金保険の被保険者が20年以上ある方
- 65歳到達時点で、その方に生計を維持されている配偶者又は子供がいる
- 配偶者の年齢は65歳未満である
- 子供の年齢は18歳未満である
- 加給年金の対象となる配偶者が、自身の厚生年金の被保険者期間が20年未満である
- 加給年金の対象となる配偶者の年収が、850万円未満である
配偶者自身に相応の年収があったり、配偶者自身が受け取る年金が多い場合には
加給年金は受給できない仕組みになっています。
このことから、「家族手当のような年金」と言われています。
加算給付の額
加算給付の額は、下記の表のとおりです。
配偶者には、生年月日によって特別加算額があります。
★下記の表は、日本年金機構HPからお借りしています。

我家の場合ですと、夫が65歳になった時に妻である私は56歳ですので
表中の青枠で囲った部分に該当し、生年月日は昭和18年4月2日以降ですので
加給年金224,500円+特別加算額165,600円=合計390,100円
がプラスされることになります。これにより、
年間で2,188,660円、1月あたりに換算すると182,388円となりました。
ねんきん定期便に記載された、年間1,471,324円から考えると717,336円増えましたね。
我家の場合、加算給付の期間は8年半ですので、
390,100円×8.5年円=3,315,850円です。大きいですね。
まったく安心できる金額ではありませんが、まずは現実を知ることが重要です。
昭和41年4月1日以前に生まれの方は、振替加算で更におトク!
加給年金の対象となっている配偶者が65歳になると、
それまで支給されていた加給年金は打ち切られます。
我家の場合ですと、妻である私が65歳になると私には私自身の年金が支給され
それまで夫に支給されていた加給年金が打ち切りとなります。
しかし、加給年金の対象となっている配偶者が昭和41年4月1日以前に生まれている場合は
その配偶者自身が新たに受け取る「振替加算」という更におトクな制度があります!
その配偶者の生年月日により段階的に一定割合を乗じて計算されます。
該当する方は、下記の表をご覧ください。

繰り下げ受給はよく検討を!
加給年金を受給できる場合、年金の繰り下げ受給をする場合は注意が必要です。
現在、公的年金は65歳~70歳まで受給開始時期を遅らせることが出来ます。
受給開始時期を遅らせるとその後受け取れる年金が増額されるというメリットがあります。
具体的には、1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額した年金を生涯受給することが可能です。
繰り下げ期間 | 受給開始時の年齢 | 増額率 |
1年(12ヶ月) | 66歳0ヶ月~66歳11か月 | 8.4%~16.1% |
2年(24ヶ月) | 67歳0ヶ月~67歳11か月 | 16.8%~24.5% |
3年(36ヶ月) | 68歳0ヶ月~68歳11か月 | 25.2%~32.9% |
4年(48ヶ月) | 69歳0ヶ月~69歳11か月 | 33.6%~41.3% |
5年(60ヶ月) | 70歳0ヶ月 | 42.0% |
70歳まで繰り下げた場合の増額率42.0%は、とても魅力的な数字です。
ただ、繰り下げ受給をした場合はその間の加給年金は消滅します。
また、受給開始後に配偶者が65歳になるまでの加給年金を受け取ることは可能ですが
加給年金部分は増額率は対象となりません。
特に、年の差が大きいご夫婦の場合は加算給付の合計額が大きくなるので
加給年金を受給できる期間と、繰り下げ受給により増える増額分の比較検討が必要です。
届け出は必要です
先にも述べたとおり、おトクな制度は自らが行動しないと貰うことは出来ません。
届け出に必要な届出書の様式は日本年金機構HPからダウンロード、
又は年金事務所等で貰えます。

ねんきんダイアル・来訪相談を活用しよう
年金の仕組みは複雑で、それぞれの状況によって受給資格や受給額がことなります。
ぼんやりとは分かったけど、自分はどうだろう?と年金に関することで不明点があれば
1度年金事務所で相談したり、ねんきんダイアルに電話して確認してみましょう!
モデルケースではなく、自分の場合で相談が出来るので不明点が解決しますよ。

